高速レース 第38回つくばマラソン Eブロックからのサブスリー 自己ベスト更新
進化した自分にゴールで出会う
レース1か月前からは良い調整ができ、いつになく調子は良かった。
2カ月前に下り坂での3'15"/㎞位の急激なスピード練習を何度か繰り返した際に右の股関節を傷め、これが完治していないものの今までの慢性的な左脚アキレス腱痛を考えたらここ2年で一番良い状態だ。
アキレス腱の痛みは完治はしないものだと今まで諦めていたがこれを治さなければ自己ベスト更新は難しいと考えこの夏にスポーツクリニックと整骨院で診断を受けた。その結果、完治できるものであることを告げられ、走る際の脚の使い方や、日々のストレッチの大切さについて学び、これを実践してしばらくして痛みが大幅に改善された。優秀なスポーツ選手ほど怪我に強いのでは無く、怪我をしないための日々の努力を欠かさず行うことにより自己研鑽てきているのだとあらためて思った。
今年は同じランニングチームメイトが同行するのも心強い。その彼も自分と同い年で今年春の大会でサブスリー(3時間切り)を果たした努力家で日々切磋琢磨している良きライバルでもある友人だ。その彼もまた脚の故障を抱えながらもこの日の自己記録更新のために努力を続けてきた。
同じ不安を抱えながらも決して弱音を吐かない性格は相通じるものがあり、一緒にいてとても心強く心地のよいものだ。リラックスして本番当日を迎える。
いよいよ決戦の時。一番の懸念は前回のブログに書いたが申請間違いによりEブロックのスタートとなったことだ。つくばマラソンはウェーブスタート制が採用されており、各ブロックでスタート時間が異なるためスタートゲートをくぐるロスタイムはあまり無く公平性が保たれているが、スタート時刻が、A・Bブロック9:00、C・Dブロック9:05、Eブロック9:10となっておりスタートから1kmもしない内にC・Dブロックの集団に追いついてしまう。本当にその集団を交わしながらAブロック集団までたどり着くことができるだろうか。そこまで行くには6000人を抜かなければならない。
想定としては、道幅いっぱいに拡がり走っているためジグザクに走り続けなければならないし、走行速度が違うので抜かす際は急ブレーキをかけながらリスタートを繰り返さなければならず、走れる部分はかなりの速度で走らなければ1㎞当たりの平均予定タイム3'55"/㎞をクリアすることは出来ない。
「まぁ考えていても仕方ない。何とか20㎞過ぎまでに集団を突き抜け、自分のペースで走れる場所に辿り着こう。それ以外に記録を出す方法は無い。」
今回の最低条件は2時間55分以内の記録達成ではあるが、本来の目標はサブエガ(2時間50分切り)。最後までその走りができるかは別としてまずはこれを達成できる走りができるか今の自分を試すと決めていた。アベレージ4'00"/㎞で走らなければこの記録達成は無いのだから少なくとも3'55"/㎞を目標にして走ることにした。
いよいよスタートの時
スタートの45分前に並び、前から二列目に着いた。
スタート時刻が近づくに連れ、いつもと同様にパワーが漲ってくる。
「最後まで自分を信じ走り抜く。絶対に負けない。サブエガの可能性だってあるんだ。」
スタート
号砲が鳴り響く。全力でDブロックの集団を目指し先頭を走る。走れるところはできるだけ貯金を作りたい。時計を見ると3'40"/㎞で走っている。
「42㎞走で撃沈など絶対にしない。」
1㎞メートルも走らない内に人の群れが見えて来た。いよいよレースの幕開けだ。
走る際は出来る限りマナーを守り走ると決めている。レース集団の右端につき追い越す際は右手を上げすみませんと一言いう。カーブでの追い越しは一番外側から追い越す。無理な追い越しはなるべくしないように走っている人に不快な思いをさせない様に心掛けて走る。
あまりの人混みに歩車道縁石の上に上がったり下りたり、植樹帯の土の上を走る他に追い抜く術は無くこれが永遠と続く。あまりに走る速度が集団と違うため、隙間を見つけ走っても前走者にすぐに追いつきブレーキをかけ挨拶をしジグザクに走行しなければならない。事前の想定そのままだ。5〜6㎞置きに給水所があるのだか、大きく速度を落とさなければコップも取れないほど混雑しているため給水はしばらくせずに先を急ぐことにした。練習では走行20㎞でも給水しない練習をしてきた。
5kmを過ぎた辺りからしばらくこの1年は無かった膝の痛みが感じられた。追い越しの際の無理な脚の運びで、傷めたのだと思ったが今更どうすることもできない。いや、傷めるのを知っていたとしても同じ行動を取っているだろう。
ハードルが上がるほど、冒険の難易度が高ければ高いほどアドレナリンが出て闘争心に火が付く。体に無理をかけると体内のリミッターが作動し、痛みによりそれ以上の動作に制限をかけようとするのだか意識を外に向け、これを真に受けないと知らない内に痛みが感じられなくなることがあることも経験で身に着けた。火事場のくそ力があるというように、本来持つ人の能力は想像をはるかに超える力が潜在的にあると思う。ただリミッターが無ければ人の身体はひとたまりもなく壊れてしまうため多くは痛みや、眠気などに姿を変えやってくる。そんな理解だ。
走りながら周りのランナーのゼッケン番号がDからC、CからBと変わって行く。それを見ながらあともう少しで自遊空間で自分のペース走れることを楽しみに走り続けた。
25km付近からAゼッケンも多く見られはじめ、ようやく自分のペースで走れるようになってきた。ただこの頃には既に80%の体力を使い果たしている。それもそのはず、ハーフの通過タイムは自己ベストを1分以上も更新している。
この頃からタイムが4'00"/㎞を割り出し今までの貯金を食い潰して行く。
「最後まで諦めない。最後まで全力で走る。」
30kmからはこれまでの無理が祟る。そんなことは解って初めから飛ばしてきた。それを承知でチャレンジしている。
それでもパーソナルベストの更新はその時点で確信した。38km地点で流石にサブエガの達成は無いと悟ったが、1秒でも速くゴールに着こうと最後の力をふり絞った。
ゴール!
2:51'49"
今までの努力が報われた。納得のゴール。
ゴール地点では友人が待っていた。彼もまた念願のPB達成。大幅記録更新。
安堵と喜びで目頭が熱くなった。
最後に
今まで支えてくれ、理解を頂いた皆様に心から感謝致します。
本当にありがとうございました。
【記録】
タイム(グロス) 2:51:49
タイム(ネット) 2:51:47
総合順位 291位
【今後】
まだ自分には成長の余地があると感じている。
もう一度初心に返り挑戦をする。
次の目標
来年2月3日 大分別府毎日マラソン 2時間49分00秒
≫ 2019別府大分毎日マラソン参戦