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初挑戦 2023年スパルタスロンレース(アテネ〜スパルタ 246㎞) 〜後編〜

2023年10月11日
初挑戦 2023年スパルタスロンレース(アテネ〜スパルタ 246㎞) 〜後編〜

紀元前5世紀に古代ギリシャ都市アテネの侵略を目論みアケメネス朝ペルシャ帝国が進軍を行った(マラトンの戦い/第2次ペルシア戦争)。このアテネでの戦いに於いて、アテネ軍1万に対してペルシャ軍は10万。運命はきまっていたかに見えたが、アテネ軍の伝令フェイデスが世界最強軍を誇るスパルタ国の王 レオダニスに援軍を求めるためにアテネ〜スパルタ間246㎞を36時間で走り伝えた。これによりアテネが勝利したとされる。

スパルタスロンレースはこれを模して1983年に誕生した。この距離のウルトラマラソンとしては世界で最も制限時間が短く、寒暖差、高低差の厳しい難易度が高いレースとして知られる。

近年は応募者数が多く倍率の高い抽選となっていたことから参加基準が見直された。国別に参加枠(参加数)が取り決められていることに変わりが無いが、高い基準を満たす(記録)選手に優先的にエントリー権を与え、残りの枠を大会の一般基準を満たす選手の中からの抽選となった。また、国別の参加枠(参加数)について全体の完走率が低ければ、枠が減らされ他国にその分の枠を回すということになった。この背景には世界的にスパルタスロンレースの人気の高まりがある。今年は49カ国の選手がスタートラインに立った。

このレースでは、ギリシャアテネを救った伝令者フェイデスになぞらえられゴールに向かう選手には終始、街頭、家中、行き交う車、街中から惜しみない声援が送られる。そして完走者はギリシャの英雄として街を挙げて最大の祝福が与えられる。

ゴール地点のスパルタは人口14,000人程度の小さな街だが、街頭ではブラボー!、JAPON!、日本!のたくさんの声援をもらう。



歓喜の中、最後の1㎞ウィニングロードを走る。夢にまで見た瞬間だ。

この5年間、怪我で何度も今度こそもう終わりかも知れないと絶望を感じ、そこから自力で必死に這い上がってきた。「深い谷を経験した者だけが、これに比例した高い山の頂に立てる」と信じて。

レオニダス1世の像が目に入った。その瞬間、目の前がぼやけ始めたが「これが新たなスタート地点」と強く心に言い聞かす。幸福に辿り着く旅がいつしか人生を生きるための一つ糧へと変わる。

確かにそこに見えたのは終着点では無く、これからも続く唯一無二の冒険の新たな扉だった。


ゴール!

28時間08分55秒、総合29位/日本人1位








【タイムボード】




【2023年全体結果】




【スパルタ(ゴールの街)でスパルタ市長との昼食会の様子】

昼食会はゴールの翌日、アテネ(スタート)地点にバスで戻る途中に行われます。



【アテネでの授賞式の様子】

授賞式はゴールの翌々日の夜に行われます。


賞状とメダル授与は以前は一人ずつ壇上に呼ばれて行われていたそうですが、今はアルファベット順に国別で行われます。



ゴール翌日

ゴールの翌朝、ゴール地点のスパルタ広場に散歩に行き風景を目に焼きつける。
昨夜は町中が夜遅くまで大勢の人出で賑わい、花火が打ち上げられお祭りの様相だったが、ひっそりとしている。


メインストリートにはスパルタスロンレースの歴代チャンピオンの名を刻むモニュメントがある。



レオニダス1世の像の台座には「モローン・ラベ」と記されている。(欲しくば取りに来い)
「栄誉は決して向こうから転がり込んではこない。それが欲しければ自ら取りに来い。」という意味です。

レオニダス1世は、紀元前489年から480年にかけてスパルタ王として活躍しました。最後はアケメネス朝ペルシャ帝国との戦い(テルモピュライの戦い/第3次ペルシア戦争)に於いてわずか300のスパルタ兵士を自ら率いて、20万人以上とも言われるペルシア軍と互角に戦いを繰り広げ、不利な状況となっても、決してペルシアに屈することなく最後まで戦い抜き、壮絶な死闘の末絶滅したとされます。
※その後、ペルシャ帝国は再びアテネに攻め入り街に火を放ちアテネは絶体絶命となったが、アテネの指揮官テミストクレスは海上戦(サラミスの海戦)に持ち込み勝利した。ペルシア帝国の王 クセルクセスは陸上の決戦を避け帰国。その後家臣により殺害された。ペルシャ帝国は再びアテネに迫る(第4次ペルシア戦争)。アテネとスパルタの連合軍をパウサニアスが率い、陸上戦(プラタイアの戦い)で勝利し、翌月には海上戦(ミュカレの海戦)でペルシア海軍を全滅させ東西ギリシアは勝利した。

これを描く映画「スリーハンドレット」は自身が好きな映画の一つで何度も観ています。像の前に立つと複雑な思いがします。



ここにしかないハンドメイドの店でお土産を買いました。



レース前々日午後より

選手登録会場に向かう(オアシスホテル)





その後、海岸線をジョギング




レース後翌々日(帰国前日最終日)

楽しみにしていた街ラン。


アクロポリス → ゼウス神殿 → オリンピックスタジアム → リカヴィトスの丘 と巡りました。


【アクロポリス】




アクロポリス入口下のお土産屋の通り




【オリンピックスタジアム】




【リカヴィトスの丘】

遠くにリカヴィトスの丘(273m)が見えます。アクロポリスよりも高地で街全体が見渡せます。




ランナーあるあるの下から上まで駆け上がり。ご一緒した相棒からは一度も気遣いの言葉が発せられることありませんでした(笑)




頂上のレストランでアイスクリーム。ギリシャ語の店員に言葉が通じず、バニラ、チョコ、ミント、ストロベリー、クリーム増量のフルオプションで届き、周りの客も目を丸くして驚きの顔と笑い。






初挑戦 2023年スパルタスロンレース(アテネ〜スパルタ 246㎞) 〜前編〜



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