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第19回川の道フットレース(千曲川〜信濃川ステージ252㎞)に参戦

2024年5月13日
第19回川の道フットレース(千曲川〜信濃川ステージ252㎞)に参戦

今年で第19回となる川の道フットレースは長距離ウルトラランナーであれば誰もが知っているであろう名の知れた大会。

川の道(日本横断ステージ514㎞)をいつか完走することを目標にがんばっている人も多いと聞いている。エントリー応募するにはまずはその半分の距離の(千曲川〜信濃川ステージ252㎞)を完走しなければならない。ただこの千曲川〜信濃川ステージを走るのも倍率が高い狭き門である。

【エントリー要項】


自分もいつかはと思いを巡らせ、走り切る力を一歩ずつ身に着けて来た。そして今年、その思いが叶った。


【大会要項】

  • 大会名 : 第19回川の道フットレース(千曲川〜信濃川ステージ252㎞)
  • 開催日 : 2024年 5月3日(金) 11時スタート〜 5日(日) 21時 /制限時間 58時間
  • コース : 長野県小諸市「小諸グランドキャッスルホテル」スタート⇒新潟県新潟市「海の家 静浜亭」ゴール
  • チェックポイント : CP14(18.6㎞)、CP15(42.3㎞)、CP16(55.4㎞)、CP17(70.9㎞)、CP18(87.4㎞)、CP19(132.2㎞)、CP20(161.0㎞)、CP21(178.6㎞)、CP22(190.9㎞)、CP23(214.7㎞)、CP24(241.6㎞)、CP25(249.4㎞)、ゴール(251.7㎞)
※レストポイントCP19(132.2km) 新潟県津南町「旧三箇小学校」、オフィシャルエイドステーションCP23(214.7㎞)
  • 累積標高 : +1,137m/-1,680m ※自身のGarmin記録に依る
  • 高度 : 最高 667m/最低 29m




例年通り今年も11月から3月10日までの間、フルマラソンに専念してきた。そのため5月初旬に長距離を走るにはまだ身体の調整が不十分のため不安が尽きない。

自分が納得の行く走りができるかは解らないが、後悔だけはしたくないと3月10日のびわ湖マラソンを終えた翌日から走り込みを開始する。今年は2月の別府大分毎日マラソン(4度目の2時間40分切りに挑戦 第72回別府大分毎日マラソン大会に挑む)で2年越しの目標が叶った。翌月のびわ湖マラソンでは更なる記録更新とはならなかったが、ひとつ目標達成をしたことで走ることでの充実感を今まで以上に感じられるようになった。
「ここはまだ通過点。10月19日のバックヤードウルトラ サテライト大会(世界大会/団体戦)に向けた練習と考えて気楽に臨もう」

3月10日以降は休みを入れずしっかりと走り込みを行ってきた。毎日自分なりのノルマがあるため、仕事が忙しい時は部屋に置いてあるトレッドミルで夜中に走ることもしばしば。
「今日やるべきを明日に持ち越さず、一日一生の思いで日々を過ごしたい」


レース前日(5月3日)にスタート地点の長野県小諸市へ向かう。
初めての旅路は丘珠空港⇒松本空港 バス⇒松本駅 JR⇒篠ノ井駅⇒小諸駅⇒小諸グランドキャッスルホテル(受付会場)とした。

予定通りの時間に辿り着けるか不安があったが、丘珠空港で同じ大会に出る北海道のスター選手杉下さんと会い、偶然にも座席も隣で安心して楽しく目的地に着くことができた。


受付、競技説明会会場の小諸グランドキャッスルホテルに泊まったのでとても楽だ。夜と当日の朝も食事はバイキングで満足(北海道から森さん、杉下さんと)


スタート当日は9時から受付、9時30分〜10時30分 競技説明会



スタート前

スタート前に昨年のバックヤードウルトラ(東京)、48時間走 1位の木曽さん、バックヤードウルトラ(新潟) 1位の佐合さん、長崎橘湾岸スーパーマラニック(217㎞) 1位の内田さん、この他にも自分の中での多くのスター選手にご挨拶。この中で走れるというワクワク感が抑えきれない。



11:00 スタート

レースはスタートした。
自分の中での気負いは無い。いつも事前に計画するレースプランに従いマイペースでゴールを目指すのみだ。

少し気がかりなのは気温だ。日中は25度以上、夜間は10度以下の予報となっており寒暖差が大きい。
「身体の状態を見ながら臨機応変に行こう」


事前計画では100㎞までおおよそ5:30/㎞、150㎞まで6:00/㎞、200㎞まで6:30/㎞、252㎞のゴールまで7:00/㎞とし、食料調達/トイレはおよそ40㎞置きにコンビニに寄る予定だ。事前にグーグルマップで場所を調べ立ち寄る店を決めて置く。(SP46、95、171、200、233 ※予備ポイントSP28、58、153、187、215)

何事も計画があり、実践があり、そして結果がある。またそれを総括して次に繋げブラシュアップをする。何よりレースに於いて目標は励みになる。


あとはその時々の体調や気温などを勘案し、走りながら走行速度と休憩時間を前後させる。あくまで今回は、28時間以内のゴール目標だ。
当初は27時間以内と考えていたが、まだまだ身体ができていない。自身2年ぶりのジャーニーランを楽しみたいという思いから旅路を楽しむ心の余裕時間を設けた。

「20日後に開催される弘前24時間走選手権前のよい練習にもしたい。楽しむことを忘れず怪我をしないことが先決」


長い冬も終え新緑が見られるこの季節は心身が解き放たれ走っていてとても心地よい。初めてみる風景を見渡し楽しみながら先を急ぐ気持ちを持たず、ただ身を任せて走る。雲間のない太陽の日差しがジリジリと照り付けるが4〜5時間もすれば気温が下がると考えるとどうってことは無い。水分補給だけはコンスタントにとることを忘れず、昨日飛行機の窓から見たCP16(55.4㎞)善光寺に付くのを楽しみに進む。

いつも地図を頼りに進む大会では、レース中に幾度か道に迷いタイムロスをするため道先人となる選手がいればいいなと思っていたがスタートから早々単独走になってしまった。コピーして持参したコースマップを1ページずつ目で追いながら進み、不安を感じるところは立ち止まりスマホのグーグルマップで確認する。イメージしていた通りにスムーズ進めるととても楽しい。

予定していた16時すぎに善光寺に到着。大門をくぐり善光寺お堂で参拝するまでの道程(片道)が600m程度だが、参拝客で大混雑しており中々お堂まで辿りつけない。参拝後に大門まで来た道を戻る。ここはレースで一番時間のかかる難所だった(笑)



今回のレースでは食料補給について試験的に行うことがある。

100マイルのトレイルレースでは山越えが長時間となり山中に8時間以上も入ることもあり、真夏のレースともなると水だけで2ℓ以上積んで走ることもある。このためできるだけリュックを軽くし、用を足さないようにするためにも食料としてジェルを主としてきた。ただいつも中盤以降、ジェルに飽き身体がこれを拒否し気持ち悪くなり走りに悪影響を与えてきた。

このためロードのレースでは固形物を主としているのだが、昨年のスパルタスロン(初挑戦 2023年スパルタスロンレース(アテネ〜スパルタ 246㎞) 〜前編〜)では初めてのギリシャの環境に順応できず100㎞過ぎから吐き気を催し、食べ物自体受付けなくなってしまった。

この時、2か所のレストポイントに預けていた「answer600」(※300CCの水で溶かし600キロカロリー摂取できる)に助けられた。

これを機に11月に開催された2023バックヤードウルトラ ラストサムライスタンディング(BULSS)福島大会(2023バックヤードウルトラ ラストサムライスタンディング(BULSS)福島大会に参戦)ではスタートから45時間を越えたレース終盤に(結果的に終盤となったが、レースの性質上いつ競技が終わるか解らないため50時間以降から主食を「answer600」に切り替えようと考えていた)これを摂取した。

その後は(11月〜3月は自身のフルマラソンシーズン)、絶対的信頼からフルマラソンのレース前にもこれを摂取するようにした。レーススタート時刻に依るが、およそ2時間位前に摂取するようにした。(スタート時間に近いと尿意を催す危険があるため)これにより以前は10㎞置きに4個ジェルを摂取していたのだが、1〜2回の摂取となった。ハーフマラソンではジェルの摂取はしなくなった。


今回の補給計画は、「MAURTEN」と「Mag-on」を計5個、「answer600」 1袋、「チョコバー」3本、「サラミ」2本を背中に積み込み、レストポイントCP19(132.2km) まで走る。そしてレストポイントでまた「MAURTEN」と「Mag-on」を計5個、「answer600」 2袋、「チョコバー」3本、「サラミ」2本を用意しておき、リュックに積み込みゴールまで走るという計画だ。水は600ccを2本持参。できる限り寄り道を減らし走り続けていられるようにした。

「answer600」の摂取ではシェイカーを持たなくてもいいように、パッケージがチャック式になっていることを利用し何回かに分けて水を入れチャックを締めシェイクすればそのまま飲めることを事前に確かめていた。(もう少しパッケージが大きければ最高なんだけれど)これに飲みやすく、腹持ちがよく、排せつ物となるものがほぼ無いのでトイレに行かなくてよいのだから忖度無しで素晴らしい。

結果としてレストポイントCP19(132.2km) までに水の補給とトイレ(小)のため途中コンビニに3回ほど寄ったが、カレーパンを1個購入し食べた他は背中に背負った上記の食料で間に合った。


レストポイントCP19(132.2km) 深夜0:00(スタートから13時間)に到着

ほぼ予定通りにここまで進んできた。意外に信号待ちが多く肉体的にストレスを感じているがまだまだ中盤。

リュックの中身を入れ替えてすぐに出発しようとしたが、レース後半に備えて慌てずリラックスし食堂でカレーを頂いた後にリスタート(所要時間は30分)することにした。

玄関を出ると2番手の内田さんが到着した。彼とは2年前のみちのく津軽ジャーニーラン(266㎞)(みちのく津軽ジャーニーラン 最長266㎞の旅)で140㎞くらい共に走り一緒に1位でゴールした同士だ。
なんだか嬉しくなってすぐ出るなら待っていようと思い声を掛けたが、すぐ後を追いますみたいな返答があったのでここを後にした。

深夜ともなると気温が7度となり川沿いを北上しているため川に沿って向かい風が吹き付けてくる。走り続けていないととても半袖、短パンでは走れない。

山間部に入ると幾度かヘッドライトを消し脚を止めて夜空を見上げた。息をのむほどの満天の星が輝いてる。
「綺麗だ」

ここに来るまでに先にスタートしている日本横断ステージ514㎞の選の背中を何度見て来ただろう。ゴールまで走り切ることは今の自分にはまだ想像もつかない。限界を超えても尚、ゴールを目指す後ろ姿に勇気をもらう。すれ違うたびに畏敬の念を込めて「お疲れさま」と声を掛け、エールを込めて力強く駆け抜ける。


そんな真夜中の暗がりの中、遠くからヘッドライトの光がこっちへ向かってくる。どういうことなのか眠気もあり思考が追いつかない。手前で立ち止まり名前を呼ばれる。
ライトで照らし出された顔は何と昨年の24時間世界選手権で世界記録を出した長距離界のスター仲田光穂さん!ゴールから逆走しながら応援ランをしているとのこと。
一緒に何キロか話をしながら並走してくれ何にも代えがたい一生の思いでができた。


165㎞地点 4:30(スタートから16時間30分)

地平線がが明るくなり始めてきた。遠くに見える朝もやが神秘的でとても綺麗だ。スタートから終始快晴ということもあるだろうが、千曲川〜信濃川に沿って走るこのコースの景色は心に染みわたる。



CP23(214.7㎞)地点/水防学習館 10:00(スタートから23時間)に到着

日が昇ってからここに来るまでに3箇所で道を間違いをしロストをした。何れも大きな道路の左側を走るところを間違って右側を走ってしまい気づくと道から外れ、引き返さなければならないという手痛いミス。

この時間帯は寝不足と気温の上昇が重なりついボーっと何も考えずに進んでしまう要注意の時間帯と自分に言い聞かせて走ってはいるのだが。

30分くらいはロスしただろうか。水防館の手前でも右側走行するところを左側に行ってしまい、道路を渡れるところが無く右往左往。ここまでコンビニに立ち寄りたい気持ちを抑えながらコツコツと走り続けてきただけに、気持ちのダメージは大きい。

水防学習館で15分の休憩を楽しみにここまできたが、ミスを挽回するためコーラを1杯だけ頂きすぐ後にする。あと残り40㎞。

補給は予定通りリュックに積んだもので間に合っている。その点はいい収穫だ。


スタートから24時間を経過した11時には太陽が真上に昇り容赦なくジリジリと照り付ける。予報では30度となっている。交通量が多い日陰の無いただただ真っ直ぐな国道を永遠と進むというのは終盤には厳しい。

時期的に気温が35度以上に感じる。たまらず予定外のコンビニに立ち寄り、2ℓの水を購入しすぐさま頭から水を被る。そして直ぐに走り出す。(これを結果4回続けた。)その代わりに走行速度6:30/㎞前後と予定よりも幾分早目にする。メリハリだけは忘れない。

「日本横断ステージ514㎞のゴールを目指す戦士に比べたらたかだか半分の距離だ」
そう考えると不思議と脚が動く。


CP25(249.4㎞)地点/川の道岬 14:20(スタートから27時間20分)に到着

以前から写真ではよく目にしていたランナーの聖地「川の道岬」に到着。
「数年かけてようやくこの聖地に辿り着いた」しばし海岸線を見渡す。吹き付ける風が心地いい。


「ゴールまでラスト2㎞」


ゴール!

27時間37分25秒、総合1位




目標としていた28時間内(歴代2位の記録)でゴールができ大きな自信に繋がった。

3位までは来年の日本横断ステージ514㎞のエントリーが約束(優先エントリー権)されている。1年後のことはまだわからないが1歩1歩確実に前に進み成長したいと思う。

大会運営をはじめ関係者の皆様には心より感謝いたします。

ありがとうございました。


次戦

第3回24時間走選手権

昨年の24時間走世界選手権日本代表の高橋伸幸選手、女子世界記録を更新した仲田光穂選手も出場します。
応援よろしくお願いいたします。