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第3回弘前24時間走選手権 再び250㎞超えへの挑戦

2024年6月10日
第3回弘前24時間走選手権 再び250㎞超えへの挑戦

自身初めて24時間走に挑戦したのが、一昨年のこの大会(初挑戦 2022年第1回弘前24時間走/48時間走選手権 225㎞への挑戦)。この時は目標としていたスパルタスロンレースに出るための優先エントリー権(24時間走/225㎞以上)を得る目的で225㎞以上を目標に臨んだ。

昨年はこの経験を活かし自身最後の24時間走として、第2回弘前24時間走選手権で250㎞超えを目標にして不退転の覚悟で臨んだ。(第2回弘前24時間走選手権 250㎞超えへの挑戦)

結果は目標達成ならず。この時、目標を越えるにはスピード、スタミナ、経験すべてに於いて足りていないことを痛感した。自分の目前に見上げるほど高い強固な壁を感じる。250㎞超えを目標とした軽率な自分の言葉を恥じた。

「来年もう1度24時間走に挑戦するか否かは、6月の「サロマ湖100㎞ウルトラマラソン」、9月の「スパルタスロン」、11月の「バックヤードウルトラ ラストサムライスタンディング(BULSS)」、3月の「別府大分毎日マラソン」を1つずつ脇目を振らず挑んだ後に自分の気持ちを確かめよう」



あれから1年が経った。

振り返ると様々な怪我に泣かされ続けてきた1年だった。股関節外側の弾発股から始まり、克服したと思いきや太腿肉離れを起こす。その後、太腿の内転筋を痛め完治したと思ったのも束の間、今度は梨状筋の炎症と今までに無い新たな怪我が続いた。勿論、同じ轍は踏まぬようにその都度ストレッチ項目や筋トレ項目を追加し継続してきてのことだ。

「これは弱いが故の怪我では無く、あらゆる部位が強化され出力が上がっている証拠。その裏付けとして走る速度が昨年よりも上がっている。これを乗り越えたとき今までで最も強い自分になる」そう信じて腐らずやってきた。

この1年、何かしらの怪我を抱え、満足な状態で臨めたレースは1つも無かったが心技体の総合力で昨年の自分に打ち勝ち続けてきた。


この1年の成果を確かめる時が来た。


【大会概要】

第3回弘前24時間走/48時間走/6日間走選手権
部門① : 6日間走
日時 : 2024年 5月20日(月) 12時スタート〜5月26日(日) 12時タイムアップ(144時間)

部門② : 48時間走
日時 : 2024年 5月24日(金) 12時スタート〜5月26日(日) 12時タイムアップ(48時間)

部門③ : 24時間走
日時 : 2024年 5月25日(土) 12時スタート〜5月26日(日) 12時タイムアップ(24時間)

部門④ : 100㎞走
日時 : 2024年 5月25日(土) 4時スタート〜5月25日(土) 18時タイムアップ(制限時間13時間)

〇会場
弘前市運動公園 青森県弘前市豊田2-3

〇コース
陸上競技場+外周ランニングコース 1周1.25㎞を周回



【巡航計画】

スタートから12時間は平均5分00秒/㎞で入り、およそ3時間おきに2分の予備時間(食事/トイレ)とする。スタートから6時間ごとにその時の身体の状態に合わせペースの見直しを図る。今までの経験上、走る中で調子のよい時間と悪い時間の波が交互に訪れる。このためレース全体(24時間)を俯瞰しながら、身体の状態にできる限り合わせ目標距離257㎞に到達する努力をする。



昨年は作成したペース表通りに巡航しようとするあまりに無理をした時間が続き、結果的にレース中盤以降(スタートから12時間以降)は一度も復活の良い波が訪れる事無く、最後まで苦しみ続け惨敗した。24時間の中での好・不調の波が必ずあるが、速度の上限と下限をどこに置くかが肝であると考えた。これは実戦で修正していく他に手立てはない。




【食料・水補給計画】

24時間走ではコース上で食料や水の用意など身支度を支援するハンドラーの帯同が1名認められているが、今年もハンドラー無しで臨むことにした。コース脇に1か所テントがあり長テーブルが用意されているため、そこに寄り補給することとなる。

今回は今までの経験を踏まえて、「MAURTEN GEL100」と「answer600」(※300CCの水で溶かし600キロカロリー摂取できる)、「サバス プロテイン」を主食とした。「answer600」と「サバス プロテイン」は予め必要個数分のシェイカーを用意し、作っておき美味しく飲めるように保冷バックに入れることにした。水も移し替えをしなくてもいいように500mlの水を12本用意し使い切りとし、最終盤に飲むレットブル2本と共にこれも保冷バックに詰めた。

  • MAURTEN GEL100 CAF100 / 4個
  • MAURTEN GEL100 / 4個
  • MAG-on Lemon / 4個
  • answer600 / 4袋
  • サバス プロテイン300cc / 2本
  • サジー 30mℓ / 1個
  • MUSASHI NI / 2本
  • バナナ / 4本
  • おにぎり / 2個
  • ミネラルウォーター2ℓ / 1本
  • ミネラルウォーター500ml / 12本


メインは第19回川の道フットレース(千曲川〜信濃川ステージ252㎞)の参戦記にも書いたが(第19回川の道フットレース(千曲川〜信濃川ステージ252㎞)に参戦)、絶対的信頼のある「answer600」(※300CCの水で溶かし600キロカロリー摂取できる)である。スタート2時間前に1袋を飲み、その後6時間前後ごとに摂取予定とした。


■スタート前

今年も男女に昨年の日本代表選手の他、スター選手の面々で胸が躍る。



■スタート(12:00)

スタートは午前12時。天候は曇り時々晴れ。気温は14時に最高気温が20度くらいの予報だ。一昨年は晴れ26度、昨年は晴れ時々曇り24度を考えると最高のコンディション。

走り始めは4:30'/㎞と計画よりも1㎞当たり30秒速いが、リラックスし気持ちよく走れている感覚を優先させる。



スタートから2時間半が経過し25㎞に到達した頃、急激に脚が重くなりこれに比例して速度を落とし始める。

やはり20日前に走った川の道フットレース(千曲川〜信濃川ステージ252㎞)の脚の疲労が抜け切っていなかったのだと悟る。川の道フットレースが終わり1日休んでからは毎日15㎞程度軽いジョグで繋いできたが、日増しに状態は良くなり90%くらいまでは回復したと思っていた。

ランナーであれば経験があると思うが、筋肉の芯まで疲労が抜けたかどうか知るにはそこそこの距離を踏まないと気づけないことが多い。レースの翌日に10㎞は快調に走れてもそれ以降、鉛のように脚が重くなり走れなかったりする。これが5㎞で訪れる時もあれば30㎞以降の時もある。だからといって休んで疲労を抜けば良い結果を出せるという訳でもない。心と身体が噛み合ってこその結果なのだ。

とりわけ長距離になると自分の場合は身体的能力よりも、心を占める割合が大きくなる。日々どんな状況下でも走り続けるのは最後まで自分自身を信じ切れる強い心を養うためと言ってもよい。


依然、右肩下がりの減速が続く..

最低でもスタートから12時間は5:30'/㎞ペースを越えずに行く計画だったが早くもスタートから4時間でこのペースを越えてしまっている。全く脚に力が入らない。


■60㎞(18:00/スタートから6時間)

何とか5:40'/㎞ペースよりも落とさないようこれを維持してきたが、少しでも気を抜けば止めどなく速度は落ちていく状態だ。

食欲も無くここまでジェルを数個とバナナ1本を食べただけだった。ここで「answer600」とその後、水の代わりに「サバス プロテイン300cc」を飲み気持ちの転換を図り復活を祈る。

「まずは100㎞を目標として歩を進めよう。ここで無理をすれば間違いなく100㎞以降は走れなくなりリタイヤすることになる。一か八かスタートからの平均速度(アベレージ)を5:30'/㎞まで許容しよう。深夜以降の復活に賭けるしかない」


肉体的にも精神的にも厳しい時間は続く。もう一人の自分が走り続ける自分に疑問を投げかけてくる。



レース中に於いて常に目標を作りこれを原動力として走っている。40㎞先或いは3時間先で休憩をするとか、何かを食べるとか些細なことだかこれを作ることによりメリハリが生まれる。厳しい時の対処法は厳しさが増すごとにこれを細分化する。3時間先が1時間先となり、30分となり、1周(約5.5分)となる。

20〜22時(スタートから8〜10時間)に至っては、1周先のことすら考える余裕が無くなっていた。

できる限り自分ではない誰かが走っているかのように肉体と心を分離させ、高いところから自分を俯瞰するように努める。




■127㎞(0:00/スタートから12時間)

23時に夜食の「answer600」とその後、水の代わりに「サバス プロテイン300cc」を飲む。時間の経過と共に気温が下がっていることもプラスに作用しているのか幾分調子が上向いてきた。

今まで数々のレース途中で限界を感じ、そして深夜0時以降に神がかり的に復活を遂げゴールをしてきた。今回は理由が理由だけにその可能性は限りなく低いと思いつつも、この「復活の時」が訪れるのを信じて歩み続けてきた。

あと残り半分の12時間。既に予備の時間は全て使い果たした。これまで来たように平均5:30'/㎞で走り切らなければ目標達成は無い。

「ここからがスタート。真の力を試される時」 強い気持ちで覚悟を決める。


「復活の時が来た」

深夜0時を過ぎ何かが乗り移ったかのように自然に脚が動き始める。

今までの経験を踏まえ、挽回したい逸る気持ちを抑える。

物事には必ず反動が生まれる。ここで振れ幅を大きくし過ぎると、その後の低調の波がきたときにはその大きさに耐え凌ぐことはできない。数時間後にはまた低調の波が必ず来る。ただそこを凌げは好調とまでは行かないまでも走れる波はきっと来るだろう。ここはできる限り波を小さくし乗り切る。そして残り6時間に全てを賭ける」

予想通り午前3時頃に低調の波がきたが慌てずここで「answer600」を摂取し、カップラーメンを食べ気持ちを整える。

「また日が昇る頃に復活の時が来るはずた。その時こそ自らとの決戦の時」




■193㎞(6:00/スタートから18時間)〜ラスト


スタートから絶やさずすれ違う選手に声援を送り、また声援を送られこれが力となり希望の灯を燃やし続けてきた。道端での一般応援、運営スタッフの方々からの応援、他の選手の諦めずに走り続ける後ろ姿からたくさんの勇気をもらってきた。

「あと6時間、精一杯力の限りを尽くそう」






正午12時 24時間の終了の合図。

これまでで一番長い24時間を終えた。


■結果
  • 総合1位
  • 201周 252.048㎞ M50(50才以上)日本記録



「今日は過去の努力の結果。未来は今日の努力で作られる」


大会運営をはじめ関係者の皆様には心より感謝いたします。

ありがとうございました。



【備考】

2年に1度行われる「IAU24時間走世界選手権」は2025年10月18-19日にフランス・アルビにて開催となっています。

「2025IAU24時間走世界選手権代表選考指定大会」の結果、日本代表選手(男女それぞれ4名)が選出されます。


■2024年度は以下の3レースがボーナスポイント対象大会となっています。

① 第1回 宮古島ウルトラトラックレース 24時間走<JUA公認>(沖縄県:2024.03.09-10)
② 第3回 弘前24時間走<JUA公認>(青森県:2024.05.25-26)
➂ 第1回 千歳青葉ウルトラトラックレース 24時間走<JUA公認>(北海道:2024.08.31-09.01)

※ボーナスポイント獲得状況はJUA日本ウルトラランナーズ協会HPに掲載


■2025IAU24時間走世界選手権代表選考指定大会は以下の3レースです。

第1選考指定大会:第16回 神宮外苑24時間チャレンジ(東京都:2025.03・調整中)
第2選考指定大会1:大会未定(2025.04・調整中)
第2選考指定大会2:第4回 弘前24時間走(2025.05.25-26)


自身は、第1選考指定大会:第16回 神宮外苑24時間チャレンジ(東京都:2025.03・調整中)に臨む予定です。
それまでに260㎞を越えられる実力を身につけるべく努力を続けます。

ちなみにM50(50才以上)の世界記録は2022.9.7 ドイツ人 Michael W.Ohlerの 267.782㎞です。




次戦

サロマ湖100㎞ウルトラマラソン
第39回サロマ湖100㎞ウルトラマラソン 7時間30分切りに再挑戦