クロモドラマグネシウムホイール フルオーバーホール再塗装同時3セット
埼玉県から1セット、茨木県から2セットの同時に3セットの入庫です。
貴重なマグネシウムホイールが1週間以内に同時に3セット、御三方話を合わせたみたいですね。
マグネシウムなので、どれも腐食が酷く、3セットとも全てかなり傷んでおります。
また、マグネシウムはアルミとは違い、非常に特異な金属ですので、必ずしも「綺麗になりますよ!」とは言えません。少なくても当社ではそのようには謳っておりません。
下段の1セットはすでに研磨をしてしまっていますが、入庫時の状態です。
溶剤ウレタン塗装をしてしまったようで、溶剤に侵されてチヂミ、浮きが激しいです。
マグネシウムに対して溶剤塗装は厳禁です!
塗装の剥離はマグネシウム専用剥離です
マグネシウムは剥離溶液に付けると溶けてしまいますので、専門業者へ外注しての剥離となります。
専門剥離業者さんから戻ってきた状態です。想像通り素地の状態はかなり酷いです。
マグネシウムは良く入庫しますが、イメージ的には今回の3セットが過去に無い位一番酷いかもしれません。
下地研磨後に被膜処理をします
サンドブラスト研磨、回転研磨、アクションツール研磨で出来る限り下地研磨をします。
ただ、今回はかなり酷い状態で、浸食の根は深く、ある程度削り込んでもあまり良くはなりませんでした。
必要以上に削り込むと強度的に問題が出てきますので、頃合いをみてやめます。
マグネシウムの場合は、アルミとは違い、酸化被膜処理を施します。酸化被膜処理は化成処理と陽極酸化があり、化成処理は自社施工、陽極酸化は専門工場での外注施工になります。あくまでも素地の酸化被膜処理に過ぎませんので、これを施したから浸食跡が無くなるという事はありません。どちらを選択されるかはユーザー様ご自身の判断になります。
今回は化成処理が1セット、陽極酸化が2セットです。
1コート目にプライマーをパウダーコートします
プライマーはマグネシウムをプロテクトする機能を持つマグネシウム専用のプロテクトプライマーになります。
一旦生焼きして硬化させます。
2コート目にシルバーをパウダーコートします
2コート目に仕上げとなるシルバーをパウダーコートします。
このシルバーは1コートでも使えるシルバーで、6〜7部ほどの艶加減です。
クリアーもリコートは出来ますが、この年代のマグネシウムホイールがツルツル、ピカピカになると、逆にマグネシウムである事の風合いがかき消されますので、あえてこの艶加減でフィニッシュです。
ナットホールブッシュはウェットブラスト研磨です
ナットホールのブッシュはアルミ製なので、ウェットブラスト研磨で綺麗なアルミ地肌に戻します。
焼き付けて完成です
画像でもお解りのように、かなり浸食が酷く、研磨でもあまり除去し切れなかったので、それが塗面にも反映されています。このパウダーコート膜を研いで、ウレタン塗装を重ね塗りする事は技術的には可能で、理論的にはパウダーコート膜が素地とウレタン塗装の遮断膜になるでしょう。でも、それでも溶剤(ウレタン)は使いたくないと思うほどマグネシウムは有機溶剤に対しては全く抵抗力はありません。
マグネシウムは大まかな見解としては、何処も共有した意見だと思いますが、細かな内容はそれぞれ独自の考えがありますので、ご自身の考えと合致するショップさんを選択されると良いと思います。
当社のマグネシウムホイールに対する見解はこちらでご確認下さい。