S130フェアレディZ ダイヤモンドカット/フルオーバーホール修理
もう35年前のホイールですね。
これをフルオーバーホールします。
ディスクとリムをそれぞれ仕上げた後、溶接で接合されている「溶接2P」タイプです。
完璧に作業を行うには、溶接接合を旋盤カットで分解し、それぞれ個別に仕上げ、
最後に再度溶接接合という方法と取りますが、コストもその分かなりかかります。
今回は分解せずにこのまま行う事になりました。
溶接旋盤カット分解でのフルオーバーホール事例はこちらをご覧ください。
裏側を見ると溶接跡があります。
表側は矢印部分の僅かな隙間がありますので、1Pでは無い事が解ります。
塗装の剥離から下地の研磨です
インナーは回転研磨、表面天面はダイヤモンドカットなのでまずは無視し、
スリット内はサンドブラスト研磨です。
スリット内の鋳造砂肌はそのまま残したいので、いつも行っているバレル粗研磨工程は
今回は行いません。
35年前のホイールですので、部分的に腐食浸食の酷い個所はあります。
酷い個所は幸い裏側に多かったので、見た目には影響しませんでした。
パウダーコートクリアー塗装です
インナー側をパウダーコートクリアー塗装です。
これでツル肌になるので、汚れも付き難くなります。
ディスクのスリットのウレタン塗装です
表面のスリットは、調色したゴールドでウレタン塗装をします。
いつもはパウダーコートでいきますが、調色が必要だったのと、
パウダーコートですと膜厚があるので、素地の鋳造砂肌のザラザラが平滑に埋まってしまうため、
今回はウレタン塗装にしました。
表面全面のダイヤモンドカット加工です
ダイヤモンドカット加工後です。パッと見は特に問題無く見えますね。
ここで溶接2Pが災いします。
ダイヤモンドカットはバイト(刃物)での切削で、隙間の幅によっては刃物が入らない場合があります。
今回のホイールはディスクの立ち上がりとリムとの幅が狭く、最後まで刃物が入らないため、
3㎜程の幅で残りました。
アウターリムは回転研磨疑似ライン仕上げに切り替えです
事前にこの可能性もご説明しており、こうなった場合はリムのみ回転研磨に切り替える、
という事でご了解を得ておりましたので、改めて回転研磨で残った部分の除去をします。
この場合は、リムはダイヤモンドカットではなく、回転研磨の疑似ライン仕上げとなります。
ディスクはマスキングで隠し、リムのウレタンクリアー塗装です。
完成です!
35年前のホイールがここまで蘇りました!
溶接カットでの分解はせずに、どちらかと言うとコスト優先気味の施工方法となりましたが、
特に違和感もなく、遜色無く仕上がったと思います。