ポルシェ純正スピードライン18インチ バレル研磨ポリッシュ加工+リム交換(リバレル)で極太ホイールへ
このホイールもかなり古い物なので、白サビや塗膜の劣化はあって当然で、リフレッシュを兼ねて現在のシルバーディスクからバレル研磨でのポリッシュディスクにリメイク、さらに今車両のボディーワークも同時進行のようで、リム交換(リバレル)をし、車両に合わせたサイズへ変更ご希望で、広島県からご依頼いただきました。
毎度良く入庫するホイールですが、今回のホイールはピアスボルトが変わっていて、過去に数多くポルシェ純正スピードラインを見てきましたが、初めて見るピアスボルトでした。
普通のポルシェ純正スピードラインのピアスは星形6角です。
今回の物は丸で、一部が平面になっている変わった形状です。
分解時は心配していませんが、組み付け時はいかがな物か・・・。
リム交換ですが、現状のサイスがこのようになっています。
■フロント(8.5j +40) アウター1.75+インナー6.5+スペーサー0.25
■リア(11.0j +25)) アウター3.75+インナー7.0+スペーサー0.25
スペーサーと言うのはアウターリムとインナーリムの間に0.25インチ相当の厚みのアルミ製のリングが入っております。このリング状のスペーサーが必要な意味は定かではありませんが、おそらく現状のリムはヨーロッパ製リムで、普通は0.5j刻みですが、ヨーロッパ製リムの刻みが0.25/0.75刻みになっており、そうするとタイヤの標準リム幅と規定が合わなくなります。そこで0.25j分のスペーサーを入れてホイールのトータルサイズが0.5j刻みになるように調整しているのではないか?と言う私感的な意見です。
リム交換は、インナーは現状の物を使い、アウターだけを太くする事が多いですが、今回はそれではご希望サイズになりませんので、アウターもインナーも両方交換します。
交換後のサイズはこのようになります。
■フロント(10.0j +8(正確には+8.25)) アウター4.0+インナー6.0(スペーサー撤去)
■リア(13.25j −42(正確には−41.7)) アウター7.5+インナー5.5+スペーサー0.25
車両に装着した時は、フロントは現状より約50㎜程、リア極太になり100㎜程外に出ます。
交換リムサイズが決まり、リムを発注します。
リムが入荷するまではかなり日数がかかりますので、その間にディスクのバレル研磨とピアスボルトの再塗装を済ませておきます。
ちなみに当社扱いの交換用リムですが、6000♯フローフォーミング鍛造リムです。一般的に販売されている合金プレスリムとは材質が違います。
◉ディスクのバレル研磨ポリッシュ加工
元々はシルバー塗装されております。
シルバー塗装の剥離、サンドブラスト研磨からアクションツールを駆使してハンド研磨をし、バレル粗研磨投入前の下地研磨処理をします。
バレル研磨ポリッシュ加工の仕上がりはこの段階の作業の良し悪しで全てが決まると言っても過言ではありません。
下地研磨後にバレル粗研磨へ投入します。
バレル粗研磨完了後に満を持してバレル仕上げ研磨へ投入します。
下地研磨のツボさえ押さえていれば、粗研磨も仕上げ研磨も一発でこうなります。
仕上げはパウダーコートクリアー塗装です。
ポリッシュの光沢は無垢が一番綺麗に輝きます。クリアー塗装をするとクリアーと言えども塗膜分の僅かな濁りは出ますので、無垢と比べ2割程光沢が引けます。
だからと言ってクリアーレスのままだと、酸化白ボケはしてきますので、定期的なメンテナンスが必要になり、維持するのは中々難しいです。
クリアー塗装をすると僅かに輝きは引けますが、保護膜になるため酸化白ボケはしません。ただし、いずれはクリアー塗膜と素地の間に発生する「白サビ」は避けられません。
ポリッシュに対してのクリアーの有り無しはどちらも一長一短はあります。
◉ピアスボルトの再塗装
ピアスボルトも元々はシルバー塗装されています。
ホイール1本に40本、4本分160本を1本1本剥離&サンドブラスト研磨で塗装の前処理をします。
ピアスボルトもパウダーコートでも良いのですが、パウダーコートは塗膜が厚いので、ピアスボルトの頭にある溝や刻印がやや埋まりかけてしまいます。今回は特に変わったピアスボルト形状でもあったので、薄膜でも強靭な塗膜性能のガンコートで塗装します。
そうこうしているうちにリムの入荷です。
世界的に良く使われる、BBS、OZ等の対応リムは3週間程から1ヶ月程で入荷する事がほとんどですが、今回のリムはスピードラインなのでこれも世界的に良く使われてはいますが、サイズがかなり特殊なサイズ設定になったため、平均より少し遅れ1ヶ月ちょっとかかりました。
◉インナーリムのシルバー塗装
もちろん新品ですので、脱脂洗浄をしてからパウダーコートシルバー塗装です。
◉アウターリムのポリッシュ加工+文字エッヂング加工+クリアー塗装
アウターリムももちろん新品でポリッシュされた状態で届きますが、バフ目やバフムラがあるので、いつも入荷後に自社にてバレル仕上げ研磨にかけてムラの無い鏡面に手直ししています。
今回は、ポルシェ純正スピードライン特有の文字のエッヂング加工も行います。
この文字のエッヂング加工が出来なければこのホイールの意味はありません。
エアーバルブ両脇に入れるサイズ表記は、リム交換後のサイズに変更します。
ディスク同様に、この段階ではまるでメッキのような光沢ですが、リムもディスク同様にパウダーコートクリアー仕上げです。
さて、問題の組み付けです。
普通のピアスボルトですと上下も左右も関係ありませんが、今回のピアスボルトは向きがあるので、ガッチリ固定しなければなりません。そのため、このピアスボルトの為の専用ソケットを特注しました。
外注先の腕利きの加工職人さんのお陰で完璧な専用ソケットが出来ました。
◉組み付けをして完成です
これはリアのホイールです。
アウターリムが7.5インチと激深なので、少し斜めにするとディスクが見えなくなりますね。
バレル研磨ポリッシュ加工は加工中でもコスト高な加工で、今回はさらにアウター、インナーの両リム交換ですので、まぁまぁ良いホイールが新品で買える位のコストがかかっていますが、このようなホイールになるともはや金額の問題ではありませんね。世界に1セットしかないホイールに生まれ変わりましたので。