ケーニッヒホイール19インチ リム交換(リバレル)+フルオーバーホール修理
これも年数的にはかなり古いホイールですが、今も変わらず人気の高いホイールの一つですね。
古いホイールですので、全体的な痛みや修理歴はあって当然で、今回はそれらのフルオーバーホールを兼ねてディスクの色変更、さらにリム交換リバレルでサイズ変更もご希望で大阪府からご依頼いただきました。
リムを発注してから入荷までに早い時でも1ヵ月程、遅い時ですと2ヵ月以上かかる時もありますので、リムが届くまでの間に他の出来る作業を進めていきます。
◎ディスク・センタープレートの塗装
ディスクとセンタープレートは同じ仕上げなので、同時に進めます。
元の塗装を剥離、サンドブラスト研磨後にバレル粗研磨にかけて塗装の下地を作ります。
ケーニッヒは特に酷い腐食はありませんでしたが、古い鋳造ですので、一応下焼きを行います。
鋳造や腐食がある物をそのままいきなり本番塗装&200℃で焼き付けると、鋳造巣穴や腐食箇所から沸きが発生し、塗膜に気泡や染みを作りますので、本番前に200℃×数十分で下焼きを行います。この下焼きの段階で出る物を出してしまおう、と言う理屈です。下焼きを行っても沸きが出る物も中にはありますが、下焼きを行わないよりも沸きの発生率はグッと下がります。
下焼き後に今回ご希望のシャドークロームをパウダーコート、焼き付けて一旦シャドークロームを硬化させます。
◎スポークのロゴ入れ
スポークにKOENIGの文字を入れます。
普通ですと、ロゴをステッカーで製作、貼り付けてクリアーで閉じますが、ステッカーはパウダーコートの焼き温度200℃には耐えられませんので、最終のクリアー塗装は溶剤ウレタン塗装のクリアーになります。
これでは折角シャドークロームをパウダーコート塗装した意味がありませんので、当社では別の方法をとります。
①ロゴの文字抜きシートを製作
②塗装で文字入れ
ここでも塗装も、ウレタン塗装だとパウダーコートの焼き温度200℃には耐えられないので、パウダーコートのクリアー仕上げが出来ませんので、耐熱に特化した『ガンコート』と言う特殊な塗装を使う事で、パウダーコートクリアー仕上げが可能となります。
ベースが暗めのガンメタっぽいカラーですので、ロゴはシルバーにしました。
③パウダーコートクリアー塗装
最後にパウダーコートクリアーで閉じます。
ガンコートは超薄膜なので、クリアーで閉じると、まるでプリント字のように平滑で段差なく仕上がります。
◎センターリングのポリッシュ加工
元々はこんな感じで、クリアーが劣化していました。
ポリッシュ磨きで綺麗なポリッシュに戻してからパウダーコートクリアー塗装です。
◎ピアスボルトのクローム戻し
ピアスボルトはシルバーに塗られていました。
元々はクロームのはずなので、シルバー塗装を剥離後に洗浄磨きで元々の綺麗なクロームに戻しました。
◎リムの入荷です
インナーは6.5インチ、アウターは5.5インチ、4本通しで12.0jにします。
インナーリムはブラックにします。
もちろん新品ですので、脱脂洗浄をしてからグロスブラックをパウダーコートです。
アウターリムはバフ磨きの状態で入荷しますが、少なからずバフ目や光沢のムラがあるため、自社にてバレル仕上げ研磨にかけて、バフ目や光沢のムラのない綺麗な鏡面にします。
アウターリムはクリアーの有無を選択出来、今回は拘りのクリアー無しのご希望です。
クリアー無しは、光沢の邪魔になる塗膜等一切ないので、アルミの鏡面光沢その物を表現出来ます。
その代わり、保護膜が無いので、徐々に酸化により白ボケしてきますが、市販の艶出剤を使っての手磨きで復活出来ます。
一方クリアー有は、保護膜になるので酸化白ボケはしませんが、クリアー膜でも僅かな濁りはありますので、クリアー膜分の濁りは出ます。また、飛び石等の個所から水分が混入し、いずれ白錆びも発生してきます。
このようにポリッシュに対してのクリアー有無はどちらも一長一短あります。
◎組付けをして完成
リムの鏡面クリアーレスはまさに鏡面、この映り込みです。
ケーニッヒは部品点数が多いため、その分作業も多くなります。
今回はフルオーバーホールに加え、アウターリム&インナーリム総入れ替えの大作業となりましたので、それなりの新品ホイールなら買えそうな位の費用はかかりました。
その分完成度も高く、きっとご満足いただけるかと思います。