アシャンティ24インチ リムのクロームメッキ腐食浮きが酷いため塗装仕様リメイク
アシャンティはほとんどがクロームメッキになっており、クロームメッキは根本的に弱いので、大概が腐食で浮いてきます。今回もそうなっており、状態は酷かったです。
再メッキするには高額ですし、ここまで酷いと綺麗にならないのは目に見えていますので、塗装仕様でリメイクご希望で岩手県からご依頼いただきました。
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◎クロームメッキの剥離
塗装であれば、剥離層へ漬け込みしたり、研磨で削り落としたりで剥離できますが、クロームメッキは、ニッケルメッキ+銅メッキ+クロームメッキの全て金属膜ですので、剥離液や研磨削り落としでは剥がれません。
クロームメッキの剥離は、電解剥離と言う方法での剥離になり、専門業者へ外注での剥離になります。
そのため、塗装であれば剥離代別途はかかりませんが、クロームメッキの場合は電解剥離代として別途金額がかかり、それも結構高く、場合によってはホイールのリメイク代と同じ位かかる場合もあります。
クロームメッキの電解剥離から戻ってきた状態です。
電解剥離は素地への攻撃性が高いため、腐食ですでに傷んでいる素材の場合は、さらに酷く侵されます。
今回もその典型的な例でした。
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◎アウターリムの腐食処理
ご依頼当初はブラッシュドご希望でしたが、仮に素地の状態が良ければ出来ますが、ここまで酷いと素地表現のブラッシュド、ポリッシュは全く無理ですので、この状態を受けて、塗装仕上げに変更にしました。
まずは、通常通り回転研磨でベースに磨きを入れます。
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浸食が酷かったので、磨いた位ではほぼ消えない事は想定していましたので、一旦パウダーコートをします。
浸食が極部分的でしたらパテ埋めも出来ますが、ほぼ全面でしたので、パウダーコートの膜厚を利用してプライマーとして使います。
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焼付けて硬化させてから、もう一度研磨をします。
特に個所は埋まり切らない部分もありますが、こうする事で、浸食はほとんど平滑に埋まります。
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◎リムのパールブラック塗装
ディスクがブラックですので、併せてソリッドのブラックでも良いのですが、部分的に侵食深い個所は陥没跡として残る部分があるので、それらを少しでも目立たなくする目的で、パールブラックにしました。
ソリッドのブラックよりも、パールのキラキラが多少は陥没跡を緩和して見せてくれるはずです。
パールブラックをパウダーコート、焼付け硬化後にクリアーをオーバーコートします。
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◎インナーリムのブラック塗装
インナーリムはクロームメッキではなく、通常の白色アルマイトでしたので、アウターリムのような事もなく、普通にブラック塗装仕上げです。
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◎組付けて完成です
ディスクは何もせずにそのまま再使用です。
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このようにクロームメッキベースは最低限電解剥離は必要ですし、ほとんどの場合が素地は酷くなっているので、費用はかかる、出来る仕上げが限られる、綺麗に仕上がるとは限らない、と言うように割に合わない修理とも言えます。今回は高価なホイールでしたので、無理矢理にでも何とかするしかありませんが、そうではない場合は、諦めた方が賢明かもしれません。
今回は、ある程度妥協はしていただきましたが、特に不具合、違和感なく仕上がりましたが、こうならない方が多い位ですので、クロームメッキのリメイクはあまり期待されない方が良いかもしれません。