ホシノインパル 15インチホイール フルオーバーホール修理
軽く四半世紀以上昔のホイールですので、腐食や痛みはあって当然で、綺麗にフルオーバーホールご希望で、神奈川県からご依頼いただきました。
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構造は3Pなので、本来は分解して部位ごとに作業になりますが、このホイールはアウターリムとインナーリムは溶接、さらにディスクもリムと溶接なので、一切分解する事が出来ません。
ディスク天面が旋盤切削のダイヤモンドカットなので、同じく仕上げるには同じく旋盤切削のダイヤモンドカット加工が必要ですが、分解出来なければダイヤモンドカット加工も出来ませんので、今回はブラッシュドの要領でダイヤモンドカットに似せて仕上げる事にしました。
◎ディスク十文字部分の再塗装
元の塗装を剥離し、ディスクの十文字部分の再塗装をします。
この部分はパウダーコートでも良いのですが、この後に表面を切削研磨する事を考え、溶剤で塗装します。
溶剤は溶剤でも最後にパウダーコートクリアーで閉じますので、ウレタン塗装ですとパウダーコートの焼き温度200℃には耐えられませんので、耐熱性の高いガンコートを使います。
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◎ディスク天面の切削研磨
ディスク天面を切削研磨します。
ブラッシュドと同じ方法ですが、ブラッシュドが目的ではなくダイヤモンドカットっぽくする必要がありますので、本来のブラッシュドよりも細かい目で仕上げます。
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◎ディスクのクリアー塗装
ディスクをパウダーコートクリアーで閉じます。
鋳造や腐食がある物、古い物をそのままいきなり本番塗装&200℃で焼き付けると、鋳造巣穴や腐食箇所から沸きが発生し、塗膜に気泡や染みを作りますので、本番前に200℃×数十分で下焼きを行います。この下焼きの段階で出る物を出してしまおう、と言う理屈です。下焼きを行っても沸きが出る物も中にはありますが、下焼きを行わないよりも沸きの発生率はグッと下がります。
下焼き後にパウダーコートクリアー塗装です。
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◎アウターリムのポリッシュ加工で完成です
最後にアウターリムを鏡面ポリッシュ加工をします。
回転研磨後にバフ磨きでポリッシュにし、ここからさらにバレル仕上げ研磨にかけ、綺麗な鏡面ポリッシュにします。
ピアスボルト&ナットは新品に交換しています。
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腐食侵食が除去仕切れない部分が薄っすらあり、その影響でクリアー塗膜にややうねりが出ましたが、腐食侵食もクリアーのうねりもほぼ分からない位ですので、この年代、状態から考えるとほぼ完ぺきかと思います。
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