溶接2ピースカットポリッシュ20インチホイールWORKユーロラインN2の腐食修理
兵庫県よりご依頼をいただいたこのホイールは、「WORK(ワーク)で言うカットポリッシュ」にクリアーを施してあるホイールになりますが、一面に白錆び腐食が結構激しく出ています。
WORK(ワーク)の多くのモデルは、見た目は2ピースに見えてもピアスボルトはダミーで、リムとディスクが溶接されている「溶接2ピース」になります。構造は2ピースでも、溶接されている為、ピアスボルトを外してリムとディスクを分解するという事は出来ません。
今回は腐食の修理をご希望頂きましたが、本来ですと、2ピース構造なのに分解出来ない「溶接2ピース」タイプは何かと作業が不便で、完全な作業が出来ませんので、結果的に発生し得るリスク等をご説明させて頂き、ご了承いただいた上での作業となりました。
まずは元のクリアー塗装を剥離して塗装の下地を作ります。
剥離槽へ漬け込んで大まかに剥離し、ブラスト研磨からバレル粗研磨にかけ、塗装の下地を作ります。
次にウインドウ部分を黒に塗装します。
元々黒だったウインドウ部分を、同じく黒に塗装します。
続いて、ディスク表面の切削&リムの鏡面ポリッシュ加工を行います。
元々のディスク表面は旋盤切削のカットポリッシュなので、同じく旋盤切削のカットポリッシュとする場合は、「溶接2ピース」の為、リムとディスクが溶接されている部分を削り落としてディスク単体にする必要があります。また、クリアー塗装は溶剤ウレタン塗装でのクリアーとなる為、膜薄で密着性や耐久性もあまり強くありません。特に、一度今回のように激しい腐食をした物は、早期に同じような状態になり易いです。
今回は、ブラッシュド加工の要領でカットポリッシュに似せた仕上げにする事でご了解を得ました。これにより、クリアーは丈夫なパウダーコートクリアーを使用出来るメリットも生まれます。むしろ、元々のディスク表面と同じ旋盤切削のカットポリッシュ+ウレタン塗装クリアーよりも、ブラッシュド加工の要領でのカットポリッシュ似+パウダーコートクリアー仕上げの方が丈夫になります。
ディスク表面をブラッシュド加工の要領で切削目を入れ、リムは鏡面ポリッシュに加工し、インナーと側面は研磨肌にします。
パウダーコートクリアーを塗装します。
最後に焼き付けて完成となります。
根深い浸食は金太郎飴と同じで完全になくならない物もありますので、元々腐食侵食が酷かった部分は、浸食跡が薄っすらですが残る部分があります。
「溶接2ピース」ですと作業が限りなく制限されますので、本来やりたい部分まで手は施せません。今回のWORK(ワーク)ユーロラインN2ですと、剥離に関しては剥離液に漬けこむので、リムとディスク隙間奥の塗膜まで剥離されますが、クリアー塗装に関しては隙間奥までは届かない為、後にリムとディスクの隙間付近から白錆びが出て来るのが早いかもしれません。
尚、今回の「溶接2ピース」ホイールはディスク形状が平坦でリムに被っていないタイプでしたのでこのような作業が出来ましたが、下画像のようにリムにスポークが被っている形状のタイプは今回のような作業もできません。
いずれにしても、「溶接2ピース」タイプのホイールは、『後々に修理やリメイクと言った事はほぼ出来ない』と思って頂いた方が無難かと思います。