セリカXX純正ホイールをブラッシュド細目仕上げフルオーバーホール
35年以上昔のホイールなので、相応に結構傷みが酷く、これを全て綺麗にフルオーバーホールご希望で、神奈川県よりご依頼いただきました。
元々の製造時は、表面のポリッシュは、旋盤での切削ポリッシュのダイヤモンドカットになっており、同じくダイヤモンドカット仕上げも出来ますが、傷みや腐食がそれなりに酷い古い鋳造ホイールをダイヤモンドカット再加工をすると、鋳造巣穴が表面に出て来て、巣穴だらけになり、結果見栄えが良くならないと言う事がありますので、今回はダイヤモンドカットの代替え仕上げとして、ブラッシュド細目で仕上げる事にしました。
ブラッシュドは、旋盤刃物切削と違い、金属組織を潰しながら切削をしていくので、鋳造巣穴は目立たずに済み、ある程度リスクは避けられます。
早速塗装の剥離から行います。
元の塗装を剥離し、ガンメタに塗装する部分をブラスト研磨し、まずはガンメタをパウダーコートします。
焼付けてガンメタを硬化させ、表面天面とインナー側をブラッシュド細目切削をします。
腐食侵食が深い部分は、薄っすらを黒染みのような跡が残ります。
最後にクリアー塗装をしますが、腐食侵食が僅かにあるので、180℃〜200℃で数十分下焼きを行ってからクリアーをパウダーコートします。
下焼きを行う事で、腐食侵食跡等からの沸きを軽減出来ます。
今回一番厄介だったのが、ホイール本体よりセンターキャップの方でした。
センターキャップは、プラ製の土台に、表面に極薄アルミ板が貼り付けられており、外周の爪の折り返しを起こせば、分離出来るのですが、再度取り付け時にもう一度爪を折ると確実に割れるので、分離させずに一体のまま作業を行います。
アルミ板部分もホイールと同様にブラッシュド細目にしますが、肉厚0.3㎜程しかないので、まともに切削をするとすぐ穴が開いてしまうので、ブラッシュド加工前に、ウェットショットで素地を整え、アルミ地肌の色にします。
次にTOYOTAの凹文字に黒を入れるために、この部分をウレタン塗装で黒に塗装し、表面の黒を拭き取る事で、凹内の黒が残ります。
その後に、センターキャップ本体を回転させながら表面に薄くブラッシュド細目を入れていき、アルミ板部分をマスキングで隠して、間の部分をウレタン塗装でガンメタに塗装、最後にウレタン塗装のクリアーを丸塗り、と言う感じで行います。
これで完成になります。
元々の程度が良ければオリジナル同様に表面ダイヤモンドカット仕上げも可能です。
▼今回と同じホイールのダイヤモンドカット仕上げ事例
今回のようにブラッシュド細目仕上げの場合のクリアー塗装は丈夫なパウダーコートのクリアーですが、ダイヤモンドカット仕上げのクリアー塗装は溶剤ウレタン塗装のクリアーになります。
クリアー塗装の強さはブラッシュド細目仕上げ+パウダーコートクリアーの方が強いので、塗装の強さを重視するか、ダイヤモンドカットの見た目を重視するか、と言う選択になるかと思います。