白錆び発生のロリンザーRSK2をオーバーホール+アウターリム交換
ポリッシュ系+クリアー塗装仕上げの宿命でもある白錆びが発生しており、それら含めたフルオーバーホールと、2本のアウターリムを交換で9.0jから10.0jへサイズアップご希望で、広島県よりご依頼いただきました。
完全3Pホイールなので、分解し、それぞれ個別に作業を進めていきます。
インナーリムは元の塗装を剥離、回転研磨で下地を作ってからシルバーをパウダーコートします。
ディスクも元の塗装を剥離、ブラスト研磨後にまずは窓部分をシルバーでパウダーコートします。
センターキャップも同じ仕上げなので、同時に進めます。
焼付け硬化後に天面の仕上げを行います。
オリジナルは旋盤での切削ポリッシュのダイヤモンドカットになっており、ブラッシュド細目仕上げでご希望の方も多いですが、今回はオリジナルと同じくダイヤモンドカット仕上げご希望なので、天面をダイヤモンドカット加工します。
センターキャップの場合は、ダイヤモンドカット不可の物が多いですが、ある程度厚みがあり、固定する穴があれば出来る物もあり、RSK2のセンターキャップは出来るタイプなので、センターキャップも同じくダイヤモンドカット加工をします。
クリアー塗装に付いてですが、ブラッシュド細目仕上げの場合はパウダーコートクリアーになり、ダイヤモンドカット仕上げの場合は溶剤クリアーとなります。
クリアー塗装の厚さ・強さはパウダーコートクリアーが上ですが、ダイヤモンドカットに対してはパウダーコートクリアーは不可なので、クリアーの強さを重視するか、オリジナルのビジュアルを重視するか、と言う感じになります。
アウターのリバレルリムですが、早い時で1.5ヵ月程、遅い時で3ヵ月程、在庫無の場合は納期未定と言うこともあり、今回は2ヵ月かからないで入荷しましたので、早い部類でした。
リバレルリムのアウターはバフ磨きの状態で入荷するので、ポリッシュ仕上げの場合は、そのままでも良いには良いのですが、多少の擦れ跡等はあるので、実質自社で磨き直して綺麗な鏡面に手直ししています。
ポリッシュ後のクリアー塗装有無は任意で選択していただけます。
判断基準としては、鏡面の輝き重視はクリアー塗装無し、メンテナンス性重視はクリアー有り、と言う感じになります。
ただし、クリアー塗装無しは保護膜となるクリアー膜が無いので、徐々に酸化により白濁りしてきます。
酸化白濁りはDIY手磨きで解消にはなりますが、定期的にメンテナンスをしながら維持していく必要があります。
一方クリアー塗装有りは、クリアーが保護膜となるので、酸化白濁りはしませんが、鏡面無垢の状態に比べると2割り程輝き感が引けます。
また、いずれクリアーの下に水分が混入し、それが今回の元々のディスクに出ていたような白錆びとなります。
白錆びは、クリアーを剥離し素地を磨かなければ除去になりませんので、DIY処理は出来ません。
以上のように、ポリッシュに対するクリアー塗装有無はどちらも一長一短あります。
今回はクリアー塗装有りご希望なので、クリアーをパウダーコートします。
センターキャップのエンブレムですが、この手のエンブレムは割れていたり、蜘蛛の巣状にシワが入っていたりしている物が多く、今回もそのようになっていましたので、お客様とご相談をし、代用で製作となりました。
3㎜程度の厚さでアルミ板を円で切り出します。
エンブレムは平坦ではなく、外に向かって微妙に丸みがあるので、同じような形状になるように削りを入れます。
一旦ブラックで塗装します。
ロゴ文字をメッキシートでカッティングで作ります。
それを貼り付けて溶剤クリアーで閉じます。
焼付け硬化後に面出し磨きをし、またクリアー上塗り、これを数回繰り返す事で、文字がアクリル樹脂に埋まっているようになります。
これでようやく全ての部位の作業完了し、組付けをして完成となります。