サンドイッチ溶接構造のADVAN Racing ONIをオーバーホール/塗装
古いホイールですので、全体的に艶引けや劣化が出ているので、全て綺麗にフルオーバーホールご希望で、東京都よりご依頼頂きました。
このホイールは旧車系ホイールに良くある構造で、アウターリムとインナーリムでディスクをサンドイッチし、溶接になっているサンドイッチ溶接と言うタイプで、構造的には3Pですが分解出来ないタイプになります。
よって、このまま作業を進めます。
まずはディスクの塗装を剥離し、ブラスト処理で塗装前の素地を整えます。
ディスクのカラーは、メタリック粒子がそこそこ立っているタイプなので、近似のミディアムメタリックシルバーを使います。
ミディアムメタリックシルバーをパウダーコートします。
焼き付けて一旦硬化させます。
堀文字もオリジナルと同じように黒を入れますので、大雑把にマスキングをして周囲を隠します。
黒の塗装は、最後のクリアーはパウダーコートクリアーを使いますので、普通の塗装ですとパウダーコートの焼き温度180℃には耐えられませんので、耐熱性の高い溶剤塗装で行います。
マスキングを剥がし、硬化させる前に表面を拭き取る事で、堀の中の黒だけが綺麗に残ります。
最後にクリアーをパウダーコートします。
アウターリムはポリッシュにしますので、回転研磨でポリッシュにし、さらにバレル仕上げ研磨にかけて綺麗な鏡面ポリッシュにします。
ポリッシュ後のクリアー塗装有無は任意で選択していただけます。
判断基準としては、鏡面の輝き重視はクリアー塗装無し、メンテナンス性重視はクリアー有り、と言う感じになります。
ただし、クリアー塗装無しは保護膜となるクリアー膜が無いので、徐々に酸化により白濁りしてきます。
酸化白濁りはDIY手磨きで解消にはなりますが、定期的にメンテナンスをしながら維持していく必要があります。
一方クリアー塗装有りは、クリアーが保護膜となるので、酸化白濁りはしませんが、鏡面無垢の状態に比べると2割程輝き感が引けます。
また、いずれクリアーの下に水分が混入し、それが白錆となります。
白錆は、クリアーを剥離し素地を磨かなければ除去になりませんので、DIY処理は出来ません。
以上のように、ポリッシュに対するクリアー塗装有無はどちらも一長一短あります。
今回は鏡面の輝き重視でクリアー塗装無しです。
インナーリムは回転研磨で切削無垢肌にします。
Oniのピアスボルトは特殊な形状ですが、お客様ご自身でご用意されており、交換にしております。
アウターリムはクリアー塗装無しなので、鏡のような映り込みです。