当時物テクノファントムをリバレル加工+ディスクイエローラメ塗装
現状6.0jをアウターリム交換で8.0jへリバレル加工と併せて、現状ディスク赤からイエローラメへ色変えご希望で、愛媛県よりご依頼いただきました。
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リバレルリムは入荷までに平均3ヵ月程かかりますので、先にリバレルリムの発注を済ませ、入荷までの間に他の出来る作業を進めておきます。
今回はアウターリム交換になりますのでアウターリム以外の作業を進めていきます。
今回のテクノファントムに限らず旧車系3Pホイールは、アウターリムとインナーリムとでディスクをサンドイッチにして溶接になっておりますので、今回交換するアウターリム側の溶接をカットして切り離します。
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ディスクの塗装を剥離、ブラスト処理で塗装前の素地を整えます。
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今回ご希望のイエローラメですが、昨年になんと当時物の新品をお持ちのお客様から新品に合わせて中古ホイールを再塗装して欲しいとご依頼いただきました。
その時に、ベースのイエロー何色かと組み合わせるラメフレークのカラーと粒の大きさ等、何種類もの組み合わせを試し試行錯誤を繰り返して何とかほぼほぼ近似と言える位の組み合わせを編み出しましたので、今回はその時のデータで行います。
今後そうそう使う事は無いだろうと思っておりましたが、その時の苦労が今回役に立ちました。
まずベースとなるイエローをパウダーコートします。
ポリッシュにする天面はポリッシュ作業時に塗装も剥ぎ落すのでマスキングはしなくても良いですが、ポリッシュ作業時の手間を少しでも軽減させるため、ザックリですがマスキングをして行います。
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焼付け一旦硬化させ、インナーリムを切削肌にし、クリアーをパウダーコートします。
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もう一度焼き付けて硬化後に、天面をポリッシュに加工をします。
天面ポリッシュ面はお客様のご希望でクリアーレス(クリアー無し)仕様です。
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ここからフレーク塗装に入りますので、ポリッシュ面をマスキングで隠します。
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フレークの色も粒の大きさも何種類もあり、両方マッチしなければ雰囲気が変わってしまいます。
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フレークなので専用ガンで行いますが、このままただフレークを吹きかけてもパウダーコートとちがい電着ではありませんので、ホイールに付着しません。
最初に溶剤クリアーを塗装し、硬化前ベタベタしている状態でフレークを吹きかけます。
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フレークなのでメタリックと違い粒が大きいので、ザラザラ感があります。
以前お借りした当時物新品も結構ザラザラしていましたが、このままでは汚れを抱きやすいので、実用性を考慮し溶剤クリアーを上塗りします。
そうこうしている内にアウターリムが入荷しました。
当初入荷に3ヵ月程の予定でしたが、珍しく1ヵ月程早く入荷しました。
早速アウターリムを組付けて溶接を行います。
今まではTIG手溶接で行っておりましたが、大口径ホイールのリム溶接ですと、TIGだと溶接している時間が長く、ホイールへの熱のかかり方も強くなるため、冷ましながら行いますので、溶接だけで半日、それ以上要します。
年々リム交換、リバレルのご依頼数も多くなっている事もあり、自動溶接機を導入いたしました。
自動溶接機と言っても、専用の物が製品として販売されている訳ではなく簡単に言うと、半自動溶接機とポジショナー、それに合わせてワンオフでトーチホルダー作り、それらを組み合わせてホイール専用になるように作る、と言うイメージです。
昨年春位から構想を重ね、各専門業者の方々のご協力の元、昨年末に完成させました。
が、これがあるから誰でもすぐに上手く出来る、と言う訳ではありません。
溶接機の、初期電流/電圧、溶接電流/電圧、クレーター電流/電圧の組み合わせ、初期電流時とクレーター電流時の秒数、ポジショナーの回転速度、リム同士の溶接、今回のようなリムとディスクの溶接、等々組み合わせは多種多用で、そう簡単にいく物ではありません。
今は、この組み合わせはこの設定、と言うデータ取りがほぼほぼ出来ているので、スムーズにいくようになっています。
画像ではスパークが結構激しいように見えますが、実際はそうでも無く、溶接機もフルデジタルの低スパッタ仕様なので、溶接スパッタも全くと言って良い程飛び散りません。
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上側が今回の自動溶接、下が当時のメーカー溶接です。
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溶接後にコーキングをして完成となります。
ディスクのイエローラメは純正オリジナルと全く同じとは言えませんが、近似と言えるレベルにはなっているかと思います。
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