964RSの純正マグネシウムホイールをマグリコート処理で再塗装
マグネシウムホイールでは、一番入庫率が高いかもしれません。
綺麗に再塗装ご希望で大阪府よりご依頼いただきました。
マグネシウムはアルミや他の金属とは塗装の感覚が全く異なり、塗装は塗装と思われてご依頼されると、後々こんなはずじゃなかったのような食い違いが起きかねませんので、事前にマグネシウムホイールの【修理、塗装】特設ページをご覧になっていただき、ご理解・ご了承いただけた場合に限りお請けさせていただいております。
⇒マグネシウムホイールの【修理、塗装】特設ページ
マグネシウムは、古くなってくると、塗膜にミミズが走ったような跡が出て来る物が多く、塗装を剥離すると、思ったより素地がボロボロに浸食されている物も多いです。
また、再塗装においても、その金属特性から、必ずしも完全に綺麗になります、以降何年も良い状態を維持出来ます、とは言えない再生にはかなり厄介な金属です。
今日に至るまで、バージョンアップを繰り返しながら、その時代でベストと考えられる方法で施工してきておりますが、今は「マグリコート」と言う酸化処理(化成処理)がベストと考えており、この手法は今後長く続くものと想像しております。
※マグリコートについて詳しくは「マグネシウムの酸化を抑制する本格化成処理「マグリコート」とは?」を参照下さい。
吹き付けタイプの簡易化成処理(化成処理(簡易版)とは?)は何年も前から取り入れていましたが、今回は新たに設備導入をした本格的な化成処理の「マグリコート」での再塗装を行います。
まずは塗装剥離をしますが、マグネシウムは剥離液槽へ漬け込んでと言う剥離は厳禁で、専門の剥離工場へ依頼して剥離をしてもらいます。
塗装剥離後は、ブラスト処理と回転研磨で素地を整えます。
ここから「マグリコート」の処理に入ります。
規定温度に熱せられた専用化成処理液の槽へ漬け込みます。
漬け込んでまもなくマグネシウムと化成処理液が科学反応をおこし、炭酸のような細かい泡が発生してきます。
数分後には泡で真っ白になります。
規定時間経過後に槽から出し、水道水ではなく純水機を通った純水ですすぎます。
化成処理後は、浸透性酸化被膜が形成されグレーっぽくなります。
これで化成処理での浸透性酸化被膜が形成されます。
塗装前に180℃程度で空焼きします。
浸透性酸化被膜は素材をガードする膜ではないので、専用エポキシプライマーを塗装しガッチリ外気を遮断します。
ここまでがマグリコートでの下処理となりますが、当社ではパウダーコートの専用プライマーを塗装し、さらに強固なガード膜にします。
化成処理での浸透性酸化被膜+専用エポキシプライマー+専用パウダーコートプライマーの3層で仕上げ塗装の下処理となります。
ここからはパウダーコートでも溶剤塗装でもどちらでもいけますが、やはりまずはパウダーコートにて塗装をします。
色は変えないので、シルバーをパウダーコートします。
焼き付けてシルバー硬化後にクリアーをオーバーコートします。
もう一度焼き付けてパウダーコートシルバーで完成です。
マグネシウムは素材の特性から、多少のクレーター跡は必ず出るので、また、ポルシェのこのタイプのホイールのシルバーは、パウダーコートのシルバーに比べると、ちょっと明るいので、それら含め細かく綺麗にされたい場合は、表面だけ溶剤塗装上塗りします。
パウダーコート塗膜を足付けして溶剤上塗りですので、お化粧のようなイメージでパウダーコート程の密着力はありませんので、飛び石等何か小さなきっかけが出来ると、そこから伝染して剥がれやすいかもしれません。
色味ビジュアルを重視される場合は追加溶剤塗装、塗装の強度重視の場合は溶剤無しでパウダーコートのみの仕上げ、と言う感じです。
今回は、マグネシウムホイールの「マグリコート」処理での再塗装をご紹介しました。
通常ご希望の無い場合の素地の酸化処理は、吹き付けタイプの簡易化成処理で行っておりますが、ご希望の場合は追加費用にはなりますが、今回ご紹介の「マグリコート」処理をお勧めいたします。