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第2回弘前24時間走選手権 250㎞超えへの挑戦

2023年6月6日
第2回弘前24時間走選手権 250㎞超えへの挑戦

昨年初めて24時間走(初挑戦 2022年第1回弘前24時間走/48時間走選手権 225㎞への挑戦)という競技に挑戦をした。

この時は目標としてきたスパルタスロンレースに出場するための優先エントリー権を得られる記録(225㎞以上)を目標に臨んだ。このため確実に225㎞をにクリアする走りに徹した。

今回の出場は当初、今年9月末に出場するスパルタスロンレース(アテネ〜スパルタ247㎞)の練習の一環として考えていた。昨年の秋からフルマラソンの2時間40分切りだけを考え、最終戦(フルマラソン3戦目)となる3月19日の2023板橋Cityマラソン(2023板橋Cityマラソン 2時間40分切りを目指す50歳 3度目の挑戦)までこれに集中をした。

今年は2年に1度の11月に行われるIAU24時間走世界選手権がある年で、日本代表選手(男女それぞれ4名)が選出される年となっている。IAU世界選手権代表選考指定大会は3月11日に行われた「第15回 神宮外苑24時間チャレンジ2023」と自分が出場する5月27日の「第2回弘前24時間走選手権」の2つの大会の結果で決定される。

この2つの大会の違いは走った距離のポイントは同じであるが、順位点が神宮外苑24時間チャレンジでは1位 10ポイント、2位 8ポイント、3位 6ポイント、4位 4ポイント、5位 2ポイント、6位 1ポイントに対し、弘前24時間走選手権は1位 4ポイント、2位 3ポイント、3位 2ポイント、4位 1ポイントと神宮外苑24時間チャレンジが優遇されている。


【IAU世界選手権代表選考方法】



【第15回 神宮外苑24時間チャレンジ2023 結果(2023.3.11)】


第15回 神宮外苑24時間チャレンジ2023の結果で男女それぞれ2位までが日本代表選手として内定者が決定した。残り2枠が第2回弘前24時間走選手権の結果次第となる。第2回弘前24時間走選手権には、男子は代表内定の石川選手、小野選手と仮内定の高橋選手以外、女子は代表内定の兼松選手、楠瀬選手、4位の内山選手以外の有力選手が出場し、残りの枠を目指す戦いとなる。

日本代表選手(残り2枠)に選出されるための条件は男子「2位以上/250㎞以上」、女子「2位以上/220㎞以上」となる。


※ブログ 「ウルトラランナーへの道Ⓡブログ」から抜粋させて頂きました。ウルトラプロジェクト代表の新澤さんが詳しく分析していますので詳細はそちらをご参照ください。

24時間走に於いて250㎞以上走るためには休みなく走り続けたと仮定した場合、1㎞当たり5分45秒で走り続けるという計算になる。これはフルマラソン(42.195㎞)に例えると4時間02分でゴールするタイムで走り続けるということだ。250㎞は大きな壁であることは間違いない。

昨年初めて24時間走を走った後に「確かに250㎞という壁は恐ろしく高いが本当に自分には越えられない壁なのだろうか」と可能性について考えることが何度かあった。

今回の日本代表選手(残り2枠)に選出されるための条件は男子は「2位以上/250㎞以上」。まさにその250㎞を超える戦い。胸が熱くなる。

有力選手として名前が挙がっている選手はこれまでよく耳にし、自分が生まれ変わったとしても決して手の届かない存在と思ってきた。それでも折角夢舞台で走れるのだから「2位以上/250㎞以上」に今挑戦しなければ死ぬ最後の日まで「あの時挑戦していたなら結果はどうだったのか」と答えの無い自問自答の日々が続くだろう。そんな終わりの無い後悔だけはしたくない。

3月19日の2023板橋Cityマラソンを終えて直ぐに準備に取りかかる。フルマラソン仕様の身体でとにかく走り込みが足りず、100㎞を超える距離を走れる状態では無いため徹底して走り込みを行う。3月は20日から300㎞。4月は900㎞。5月は26日のレース前までに620㎞と順調に日々の計画をこなしてきた。、4月末にはウルトラ トレイル マウントフジ(リベンジ 2023ウルトラ トレイル マウントフジ164.7㎞ SUB26の挑戦)に出走し、24時間以上身体を動かし続ける予行練習も行った。


【巡航計画】

スタートから12時間は平均5分15秒/㎞で走り3時間おきに3分の休憩とし、12時間後から24時間までは平均5分45秒/㎞で走り休憩(食事/トイレ)は同様の3時間おきに3分というアバウトな計画とし、目標距離を255.94㎞と定めた。速度は状態を見極めながら前後15秒/㎞を許容とし、休憩(食事/トイレ)は全体で36分見ているが実際は15分以内とし、21分は後半の不慮の事態に充てる時間と考える。



【食料・水補給計画】

24時間走ではコース上で食料や水の用意など身支度を支援するハンドラーの帯同が1名認められおり、トップ選手は皆付けているが自分はハンドラー無しで臨むことにした。コース脇に1か所テントがあり長テーブルが用意されているため、そこに寄り補給することとなる。このためできる限り時間ロスとならない補給計画を考える。走りながらエネルギー補給ができるジェルを主体とし、水は2ℓのペットボトルの他に500mℓを数本用意し持ちながら走り水補給や水浴びをすることとした。※競技場(スタジアム)内では飲食は禁止されているが持って走ることは可

  • MAURTEN GEL100 CAF100 / 8個
  • MAURTEN GEL100 / 6個
  • MAG-on Lemon / 10個
  • トレイルハット エナジージェリー(コーヒー) / 1個
  • サジー 30mℓ / 1個
  • MUSASHI NI / 2本
  • AMINO PROTECT3600 / 2本
  • バナナ / 4本
  • プチトマト / 1カップ
  • おにぎり / 2個
  • 塩こんぶ
  • シジミ味噌汁
  • ミネラルウォーター2ℓ / 3本
  • ミネラルウォーター500ml / 5本


大会運営テントでは食事や飲み物が多数用意され、素晴らしいサポート環境であるがタイムロスを避けるためこれに頼らずに臨む。ジェルなどに関しては飽きずに食べられ腹持ちの良い物を用意する。ジェルはいつもレースで使用している実績のあるものとする。

走り終わった後の感想は、今回は最大24時間しか走らないからと簡単に考えていたが、後半はジェルに飽き、身体が受付を拒否していた。今までを考えてもレース中に復活を遂げる前にはエイドなどで何かしら固形物を食べていたことに気が付く。今更だが(笑)。

やはり食は偉大な力を持っている。もう少し食料や、水以外の飲料を事前に研究し用意するに限る。そこにも伸びしろを見出せるはずだ。


■スタート

スタートは午前11時。天候は晴れ時々曇り。気温は14時に最高気温が24度なる予報だ。昨年の26度に比べれば幾分救われるが、この時期、北海道人とすれば暑い。陽が落ち気温の下がる18時位までは1㎞当たり5分15秒のイーブンペースで進み体力温存を図ろうと決める。

だが初っ端から計画が狂い始める。昨年、スパルタスロン2位(歴代3位の記録)の曽宮選手は予想していた通り別格の速さで周回を重ねている。100㎞に於いても間違いなく日本トップ選手だ。(※2023/6/2 2023IAU 100kmアジア・オセアニア選手権日本代表選手に決定)

レース前、その後に続く第2集団とさほど速度が変わらないのであればマイペースで進もうと考えていた。だが女子の仲田選手が予想外の速度で周回を重ねている。仲田選手は100㎞、24時間走共にアジアレコードを持っており、今年4月30日に行われた第18回日本横断「川の道」フットレース513㎞ではレコードタイムで総合優勝。曽宮選手同様にアジアの一番星だ。素晴らしい走りに「これが世界の走りか」と気持ちが高揚する。

何度も自問自答を繰り返したが後で苦しむことを承知で計画変更を決め、仲田選手と同様の周回を重ねることにする。



※Garmin(GPS)腕時計に依る。最短距離で走行して無いためか誤差があります。


■61〜100㎞

スタートから3時間30分(時刻14時30分)。ふと暑さを覚える。集中して走っていると暑さすら気にならないことがままある。その後数周ごとにコース脇の長テーブルに寄り、自分で用意した500mlのペットボトルを取り首に水をかけながら進む。首に巻いた冷感タオルが予想以上に効果を発揮している。陽が落ちても身体が熱く21時過ぎまでは水をかけながら走っていただろうか。ペットボトルを持ちながら走っていたので持っていた方の腕と肩が痛い。ボトル専用のウエストポーチを付け走っている選手も多い。次があるならそのようにしようと思う。

走りに集中し、トイレ以外は立ち止まることなく無心で走っている。これまで予定より1㎞当たり25秒も速いペースで来たため、40㎞以降から100㎞までは意識的に速度を落とすことにする。

100㎞通過はスタートから走り付けて8時間45分(時刻19時45分)であることを確認する。計画表と寸分違わぬ時刻で通過する。

※Garmin(GPS)腕時計に依る。最短距離で走行して無いためか誤差があります。


■100〜136㎞

21時を過ぎるとようやく涼しさを感じ、走りやすい気温となる。これまで食欲があまり無く水ばかりを飲んでいたせいか、ジェルやバナナを摂ってもすぐに空腹感がやってくる。スタートから「12時間(時刻23時)になったら最初で最後の休憩を入れよう」

脚が思いの外重いため、前半に充てていたが使用していない休憩の18分を走行速度に充て、その分少し速度を落とし無理のないペースで走り続ける。
「夜中は最も好きな時間帯だ。ここは無理せずに真夜中からペースを上げよう」


スタートから12時間(時刻23時)

スタートから12時間(時刻23時)予定通り休憩を入れる。ここまで走った距離は計画の134㎞に対し136㎞。最低目標の250㎞アップまで残り12時間で114㎞。

「これから先、休憩を1度も取らないと仮定した場合、平均6分18秒/㎞で走り続ければ達成する。かなり現実的な数字だ。あと12時間後には自分の夢が叶う。いや必ず叶える」

休憩は5分。おにぎりとシジミの味噌汁を飲み、すぐにリスタートをする。


※Garmin(GPS)腕時計に依る。最短距離で走行して無いためか誤差があります。


■137〜180㎞

脚が復活し無敵になるゾーンにいつ入るかと期待し走り続けるが、その気配が一向に来ない。それどころか徐々に速度が落ち続ける。午前3時、170㎞を越えた時点で走る速度は7分00秒/㎞近くまで落としている。ここで速度を上げることは可能だが、まだ8時間以上走り続けなくてはならない。目標距離にはまだ80㎞もある。

昨年は176㎞で5分弱の休憩を挟み、その後復活し5分40秒/㎞位のペースで200㎞地点まで走った。それを考えると少なくとも6分00秒/㎞以内では走れるだろうと考えていた。

「前半の速度超過やエネルギー摂取の在り方が問題だったのかも知れない」

前半で貯金をしようとしていたわけでは無い。本気で260㎞も可能かもしれないとチャレンジをした。日本代表選手として世界で戦うなら今ここでそのぐらいは走れないと勝負にすらならないと思った。これは挑戦しなければ解らなかった価値ある経験と自身に言い聞かせる。

そんなことより問題はここからだ。どのような種目でも後半はほぼ気力のみで走り続けることになる。午前4時(スタートから17時間)過ぎまでには自分の中で気持ちの整理をしなければならない。走る目標や理由を失えば走り続けることすら困難になる。

最終的に出した結論は「240㎞以上、男子2位を絶対に堅持する」だった。

満身創痍の中、レースの目標であった250㎞以上という希望が消えても尚、恐ろしく厳しく長い残り7時間の道程を選択する。

「結果はどうであれここでやり切らなければ一生後悔する。次はもう無い。休憩を入れる事無く力の限り最後まで走り切ろう」



■181〜ラスト㎞

選手同士の声掛けや、道端での一般応援、スタッフの応援、仲間の力走が力の源になってきた。感謝は走る背中と結果で語る意外にない。

夜が明け時間の経過とともに激しさを増す雨の中、ただただひたすらに気力だけで走り続ける。もう少しで順位を守り続けるという大きな圧力からも解放される。




午前11時 24時間の終了の合図。

自分自身と懸命に戦い続けた長い24時間が終わった。


ありがとう。


■結果
  • 第2位(総合3位)
  • 192周 240.392㎞



※ブログ 「ウルトラランナーへの道Ⓡブログ」から抜粋させて頂きました。ウルトラプロジェクト代表の新澤さんが詳しく分析していますので詳細はそちらをご参照ください。




次戦

サロマ湖100㎞ウルトラマラソン
第38回サロマ湖100㎞ウルトラマラソン 7時間30分切りの挑戦

今回男子1位の曽宮選手と女子1位の仲田選手が出場するのでとても楽しみです。曽宮選手と仲田選手は、IAU24時間走日本代表の他、2023 IAU 100kmアジア・オセアニア選手権日本代表にも決定しました。曽宮選手は2022年スパルタスロン(246.8km)歴代3位記録、仲田選手は24時間走、100㎞のアジアレコードホルダーです。お二人の応援をお願いいたします。