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キャビン無し油圧ショベルへのチルトローテーター取付け検討要点

2023年8月25日
チルトローテーターの『2系統配管(4本ホース仕様)』と『1系統片側配管(2本ホース仕様)/専用ジョイスティック』について、最近はキャビン無しのミニショベルにチルトローテーターを取付けたいとのお問合せやご質問が多いため、下記に取付け検討要点を纏めます。


◎2系統配管(4本ホース仕様)

一般的にこの仕様のチルトローテーターは「キャビン無しの油圧ショベル」に選択します。専用ジョイスティックで操作する『1系統片側配管(2本ホース仕様)』の選択はできません。その理由は電子制御装置が雨水などで破損する恐れ(完全防水で無い)があるためです。

2系統配管(4本ホース仕様)』は『1系統片側配管(2本ホース仕様)/専用ジョイスティック』に比べ以下のデメリットがあります。

(1)油圧ショベル配管は2系統配管(4本ホース仕様)が必要

(2)専用ジョイスティックが使用できない。このため油圧ショベルに備え付け足ペダル又は、油圧ショベルメーカー純正オプションのジョイスティック(※例)コマツ:プロポーショナルスイッチ)での操作に限られる。足ペダルでは繊細な動作が難しいことから少なくとも油圧ショベルメーカー純正オプションのジョイスティックがある場合は選択することをお勧めします。

(3)一度に同時作業(復動作業)が出来ない。

チルトローテーターに接続する油圧ショベルの2系統配管(4本ホース仕様)の内、高圧ラインの1系統はチルトローテーターの「回転専用」となります。残りの中圧ラインの1系統は「①チルト」、「②オプションのグリッパー」、「③グラップルの開閉など作業装置」、「④カプラーロック」の操作を行います。


①、②、③、④についての操作は同時作業(復動作業)ができず、運転席内に取り付ける「インジケーターパネル」で切り替えを行う必要があります。


チルトローテーターの回転は常に行えますが、①、②、③、④については切り換えなければその操作ができません。そのため操作性ではかなりのデメリットになります。但し、回転ともう一つの動作以外頻繁に使用しないという方にはあまり問題にはならないかと思います。

【切り替えの仕組】

インジケーターパネルで選択した信号はキャビンモジュールからチルトローテーターに接続するケーブルでチルトローテーター内の電磁弁を切り換え①、②、③、④の何れか1つの操作を行います。




◎まとめ

チルトローテーターの『2系統配管(4本ホース仕様)』は、「ジョイスティクXコントロール」「チルトローテーターの制御システム」が不要で、導入費が安価な反面、油圧ショベルの配管費が多くかかります。このためトータル導入コストのメリットは大きな差はありません。但し、油圧ショベルのキャビンが必要ない方にとってはその分経費は安く済みます。

油圧ショベルメーカー純正オプションのジョイスティックがあり、チルトローテーターの回転ともう一つの動作以外頻繁に使用しないという方には、キャビン無し油圧ショベルへのチルトローテーター取付けは『2系統配管(4本ホース仕様)』を選択する価値があるかと思います。